【パラサイト半地下の家族公式動画】見逃しフル配信を無料視聴する方法！地上波＆配信の最新情報もお届け！

父のキム・ギテクは今まで数々の事業を失敗してきた。仕事がないままだが性格だけは楽天的である。そんなどうしようもない夫に当たりの強い母チュンスク。大学受験に落ち続ける息子のギウ。そして、美大を目指しているが予備校に行くお金もない娘ギジョン。内職で稼いだわずかな給料で暮らす彼ら家族は「半地下住宅」に住んでいる。窓を開ければ、消毒剤が入り、電波も悪い。トイレは水圧が弱いため、家の一番高い場所にある。みんな考えていることは同じ…普通の暮らしがしたい。ある時、ギウの友人から家庭教師の代打を頼まれる。合格はしてはいないものの、受験経験だけは豊富なギウの家庭教師先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が住む高台の大豪邸であった。パク一家の信頼を得たギウは、次にギジョンを妹だとは知らせず家庭教師として紹介する。そして更にギジョンは、様々な仕掛けをしていき…半地下のキム一家と、高台のパク一家。真逆の暮らしをする2つの家族が交差した先にあるものは…想像を上回る衝撃の光景が…！

予想を何重にも超えてくる怒涛の展開に引き摺り回されるようなストーリーで、息をつく間もありません。主人公たちの貧困な生活と半地下の住宅は目を覆いたくなるような悲惨さですが、そこへ突然現れる千載一遇のチャンス。そのチャンスを最大限に活かすべく家族全員の綿密な大計画がスタートしますが、そこでの家族たちの息の合った演技、裏での周到な工作に思わず感心してしまいます。ここまでの努力ができる人たちならば、普通の方法でも成功できるのでは、、？とも思いますが、なぜか人を騙していく方向に全力投球すること家族たち。対比的に描かれる金持ち家族たちの薄っぺらさ、滑稽さも可笑しく、巧妙に張り巡らされた伏線が一気に回収され加速していくラストもあっかんです。

貧乏一家の長女キム・ギジョンを演じたパク・ソダムが個人的には素晴らしかったです。先に金持ち一家に入り込むことに成功した兄ギウに紹介される形で、他人のフリをして家に入る直前に門の前で打ち合わせをする二人に爆笑してしまいました。素朴な貧乏人の娘だったはずの彼女が人を騙す演技を始めた瞬間からガラリと雰囲気を変え、天才的な美人アーティストとしての優美なオーラを纏う姿にとんでもなく魅了されてしまいました。インターネットで前夜に調べた美術的な知識をペラペラと自分のもののように喋る口調はやたらに説得力があり、詐欺師とはこういうものかと感心しました。あれなら誰だって騙されてしまいます。決して美人ではない彼女がとても美しく気高く見えました。

パラサイトとは、居候というような意味ですが、自立していない人間が、この映画の主役たちです。とはいえ、息子と娘が飛び抜けた才能を持ち合わせているなら、詐欺なんかしなくても良いのにと、思ってしまいます。韓国では、そうならざるを得ない環境があるのでしょうか。それにしても、どんでん返しの宝庫のような映画です。だから、常に何が起こるのかと思うと、ドキドキハラハラでした。最後に「貧乏の臭い」という差別に対して、父親は完全に切れますが、韓国の象徴的な憎悪のような気がしてなりません。いずれにしても、この映画は人間が本当に幸せになるためには、正直に真面目に生きることが、一番大切だと教えてくれている気がします。万国共通の真理だと言えます。

娘役のパク・ソダムがとても気になりました。監督も彼女については、非常に高く評価しています。家庭教師として、セレブな奥様や子どもに対してのきっぱりとした態度や、ものの言い方が実に有能に見えます。つまり、彼女の声や発音が、聞いていてとても心に刺さるのです。天性の声だと感じます。また、顔の表情や力強い声や、凛とした視線だけで、置かれている状況を的確に表すという才能がある女優だと言えます。また、良く観ると、日本の剛力彩芽にも似ているので、とても可愛いです。彼女の躍進のきっかけは、2015年の映画「黒い司祭」です。悪霊に悩まされている少女ヨンシン役で頭角を表しました。頭を丸坊主する役ですから、インパクトは相当あったようです。期待の女優です。

前半はコミカルかつ落ち着いた雰囲気で、貧乏なキム一家全員があの手この手で巧妙に大富豪のパク一家へ潜り込む様子が描かれていて、楽しみながら見ることができました。特に娘のギジョンの物怖じしない態度にはヒヤヒヤしましたが、でまかせを並べた結果、パク夫人の信頼を勝ち取り、気難しい息子に受け入れられていて面白かったです。しかし嵐の夜のシーンから雰囲気が一変！そこからは先の読めないハラハラドキドキの展開が続きます。昔の家政婦が腫れた顔でパク家のインターホンに映ったシーンは、不気味で背筋が凍りました。急遽パク一家がキャンプを中止し、帰宅するとなった時のキム一家の無言での団結っぷりは見ものでした。
全体的に、サスペンス&コメディというあまりない組み合わせを両方とも高度に描きながら、韓国の格差など考えさせられる社会派テーマも盛り込み、それでいて説教臭くならない　という唯一無二の作品だったと思います。

パラサイトでキム家の母チュンスクを演じたのは、日本で社会現象になったNetflix作品「愛の不時着」でソ・ダンの母ミョンウンを演じたチャン・ヘジンです。パラサイトでは貧乏一家の母の役、愛の不時着では平壌唯一のデパートの社長で裕福な役と、一見すると正反対のキャラクターに思えますが、両キャラクターに共通する「韓国のおばちゃん」らしさを見事に表現していて、どちらの作品でも自然かつコミカルな演技を見ることができます。パラサイトでパク一家が急遽キャンプを中止して帰宅するまでの8-9分の間に、リクエストされたジャージャー麺を一心不乱に作るシーンは、スリリングかつコミカルで、これまでの韓国映画の中でも屈指の名シーンだと思います。