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児童相談所で働く福浦小春(土屋太鳳)は、母親から捨てられた過去をもつため、ちょっと熱心すぎる仕事ぶりではあるものの、その心の傷を隠し祖父・父親・妹の4人平凡な暮らしを送っていた。ところがある日、祖父が倒れたのを皮切りに病院に行く途中で事故に遭う、家が火事になる、彼氏の浮気現場を目撃すると怒涛の不幸に見舞われてしまう。しかも目の前で踏切に倒れこむ男性を発見。ショックの連続に疲れ果てた小春は一瞬見殺しにしそうになるが男性を助ける。するとその男性はイケメン開業医・泉澤大悟(田中圭)だった。そしてなんと命の恩人である小春にプロポーズ。大悟は男で一つで8歳になる娘・ヒカリ(COCO)を育てていたが、ヒカリも2人の結婚には大賛成。裕福で優しくカッコいい王子様のような大悟と結婚し、小春はまさに現代のシンデレラ！幸せになったはずの小春だが、社会を震撼させる凶悪事件を起こしてしまう。幸せの絶頂にいたはずの小春に一体なにがあったのか…！？

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まず主人公の女性福浦小春が歩むジェットコースターのような人生の凸凹感が凄まじいですね。不幸のどん底から幸せの絶頂へ駆け上がったかと思えば、そこからまた一気に転落してゆくという。これだけ上下の差が大きすぎると、人の精神は耐えられずに狂ってしまうのかなと思ってしまうキャラクターです。そして結婚相手のお医者様とその連れ子が、最初から狂気を孕んでいて、結婚後にそれがじわじわとにじみ出てくるところがまさにホラーでした。他人を見下し続けると、人格がこんなにも歪んでしまうのかと思います。そして最後は本当にぶっ飛んだ展開でした。裏おとぎ話と銘打たれたこの作品。幼い子供には見せにくい作品ですが、いろいろと教訓になりそうなことは盛り込まれていますね。

主演の土屋太鳳さんも体当たりの熱演で輝いていますが、この映画の出演者で特に目を惹いたのは、主人公の結婚相手である、田中圭さん演じる医師泉澤大悟の連れ子、泉澤ヒカリを演じた子役のCOCOさんですね。泉澤ヒカリというキャラクターは、自分の思い通りにならないことが許せない性格で、継母である主人公に反抗的な行動を取るところも憎らしいですが、それより同級生に対する凶行が恐ろしかったです。小さな子供なんて、どんな行動をしようと可愛く見えてしまうものなのに、底知れぬ恐ろしさを感じさせてしまうなんて、演技力が素晴らしいとしか言いようがありません。COCOさんは子役として演技をするのはこの映画が初めてとのことで、今後どんな役者として成長してゆくのか、将来が本当に楽しみですね。

土屋太鳳さん演じるヒロインの小春が不幸の連続から脱して幸せへの階段を登っていくシンデレラのような前半のストーリーだけでもラブストーリーとして見応えがありましたが、後半の恐ろしくも清々しいほどの不穏な展開にただただ圧倒されました。ホラーでもありファンタジー要素も感じる不思議な作品でした。全体的に女性の生きづらさが描かれていて、幸せ＝王子様との結婚という固定観念にとらわれている小春の姿に共感する部分が少なからずあるためよりリアルで恐ろしく感じるのかと思います。結婚して一緒に生活していくにつれ相手の違った面が見えてくるというのは誰しも起こり得るものですし、最初は抵抗や違和感を抱いていたことでもだんだん麻痺して歪んだ価値観に染まってしまうというのも決してありえない話ではないので見ていてゾッとしました。

ヒロインの小春を演じた土屋太鳳さんは、基本的に優等生で明るく爽やかなイメージが強いのですが、個人的には所謂良い人の役よりも映画「累 -かさね-」で見せた欲望を丸出しにした悪女感のある歪んだ役の方が好きだったので、この作品も予告編を見た時から豹変ぶりに期待していました。今回は「累 -かさね-」の時とはまた違っていて、純粋で真っ直ぐだからこそどんどん追い詰められて歪んでいってしまう小春という難しい役でしたが、土屋太鳳さんの内なる色気と美しさが滲み出ていて恐ろしくも魅力的でした。また、全てを兼ね備えた王子様のような大悟役を演じた田中圭さんの感情の出し方もすごく、一緒に暮らしていくうちに徐々に変化していく様子は圧巻でした。

物語の展開がとてもドラマチックだなと感じました。土屋太鳳さんが主演なんですが、この主人公の悲運と言ったらありませんね。祖父が脳梗塞で倒れて車で病院に向かうときに事故を起こして酒気帯び運転で父が逮捕、その後、実家の自転車屋が火災に見舞われ彼氏は同じ職場の先輩と浮気中という怒涛の展開です。内容は不幸なんですが物語のテンポとしてはとてもリズミカルで面白いです。この不運のおかげで大悟とも出会うのでその辺はストーリー上しょうがないのでしょうね。土屋さんの演技がすごくこの映画にハマっていて良いです。不幸な女が似合うというか雰囲気がとても画面に合っています。先の展開がとても気になるそんな映画に仕上がっていました。

主演である土屋太鳳さんがとても美しかったです。結婚式の場面があるのですが田中圭さんとすごくお似合いのカップルに見えました。赤いドレス姿がどこかの国のプリンセスといった感じで見ていて癒されました。大悟役の田中圭さんもこの難しい役どころをうまく演じていたと思います。色々なものをコレクションする謎めいた男という感じで見ていてちょっとだけ不気味さを感じる演技力は流石です。ドラマ版のウォーターボーイズから注目していましたが、かなり演技力が向上していてとても嬉しかったです。こんな感じのミステリアスな役もできるんだと意外性がありました。物語の展開が怒涛すぎて色々な見方ができると思いますがお二人の演技はこの映画にとてもマッチしていました。

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